2020/8/21 9:00 不要なフォント指定があったため削除
こんにちは。今回は貨物船「わかしお」の座礁と燃料流出についてまとめます。
TVだとどうしても断片的な内容となるため、大変なことはわかるのですが具体的なイメージができず困っていました。どれくらい大変なことなのか?
まずはいろいろ検索していたところ、連続ツイートを見つけて把握のきっかけを掴みました。それが「ぺりかんめも」さん。何よりフランス語記事も解説していただけるというありがたさ。はてなブログにまとめ記事を掲載してくださっています。
まとめを読んで最初に驚いたのは、TVなどで放映された「油流出」は8月6日ですが、貨物船の座礁は7月25日であることです。すっかりTVで見ていたときには私タンカーと勘違いしていたのですが、ツイートをみて船が貨物船であり重油は燃料の流出であることも理解。
船自体は「長鋪汽船」さんが保有していてニュースでよく名前が出ている「商船三井」さんは運航を担っていた。この場合保障は保有者にあるのか、そのあたりがいまだにわからないのですが、長鋪汽船さんは毎日状況報告がHP上で発表されています。
コロナの影響でモーリシャスへの入国制限があるため、日本からの関係者は到着しているものの現在隔離されているそうです。
日本だけではなく、モーリシャスはコロナウイルスへの対応のため海外渡航者の入国禁止です。在モーリシャス日本国大使館が本日8/20HP掲示でも明言しています。寄付やボランティアへの問い合わせ多いのだと思われます。
ぺりかんめもさんのブログをみると、7月25日の直後からモーリシャスや各国の関係者が損傷からの油流出へ対応を行っていたことがわかります。あまりこの辺りニュースでは報道されてないのですが、流出が突然発生したわけではないのですね。
じゃ、なぜ流出したのか?
それについてはぺりかんめもさんのツイートで知った日経ビジュアルデータの記事がわかりやすかったです。ビジュアル主体で今回の事故をまとめられています。
タイトル「重油」と明記されているんですが、その理由を含め流出した理由を船の構造などから詳細に説明。まず世界的な船舶の航行経路を説明したうえで、座礁および重油が流出した場所が自然環境に恵まれ保護された地域でありサンゴ礁やマングローブなどに影響があることが航空写真で把握できます。
海がずっと荒れていたことで破損個所が広がっていったのですね。
このページ最後に「現在、流出した油は長鋪汽船やモーリシャス政府が手配した専門業者やボランティアが、ポンプや吸着シートで回収にあたっている。油を分解する薬剤はモーリシャス当局の許可が出ておらず使用できていない。日本の国際緊急援助隊・専門家チームによると、油を吸着するシートが不足しているという。」という一文で締められています。確かに油は洗剤などでも落ちますが、それじゃ自然を観光の売りにしているモーリシャスでは適用できない。シートでの吸収作業を続けるしかない・・・
油回収状況がぺりかんめもさんで紹介されたリンク先にありました。フランス語なので記事は読めないんですが、油を掬ったりオイルフェンスごと抱えている様子が伺えます。
この不足している油吸着シートの提供に名乗りを上げたのが東京・大田区の繊維メーカー「エム・テックス」さん
#モーリシャス 沖の油流出問題で、 #ベルわた の業務用版 #マジックファイバー油吸着材 をJICAに寄付させていただき、少量ですがの国際緊急援助隊とともに現地へ送られることになりました!
— ベルサイユのわた@油吸着材byエム・テックス (@verwata_mtechx) 2020年8月18日
油除去を試していただき、有効であればさらに追加の支援も検討していきます!https://t.co/N5bFo2eoHt
とツイート。上記でベルわたとタグにされている製品「ベルサイユのわた」HPこのイラストがどーんと出てきます。https://magic-fiber.jp/verwata/
カッコいい。そしてこの製品昨年2019年に国内の油流出事故の際、油の吸着剤として利用された実績があります。製品を共同開発している「笹原商事」さんのHPにその詳細レポートが掲載されてました。
笹原商事さんのある佐賀県は2019年8⽉九州北部⼤⾬に見舞われました。そして佐賀県杵島郡⼤町町の佐賀鉄⼯所⼤町⼯場から約5万リットルの油が流出。
当時のニュース記事が佐賀新聞のサイトに残っています。www.saga-s.co.jp
そしてこの事故において油の回収作業に同製品が使われたそうです。笹原商事さんのレポートが以下となります。
https://www.sasahara-s.net/news/detail.php?seq=29
優秀さが認められ自衛隊などに備蓄するように進んでいるとPDFでの報告書に記載があります。
https://www.sasahara-s.net/assets/pdf/20190911.pdf
ここでモーリシャスの事故規模を比較するための数値を見つけました。
PDFには流出5万リットルと書かれています。しかしモーリシャスではトンが単位。
1L(リットル)=1000㎤なんですが容積のリットルを重さのトンに換算するとなると油はどれくらいの重さ、水に対する密度がわかりません・・・ということで探したらこのような表発見。
上記の表から1立方センチメートル(㎤)0.8g(グラム)ですね。水が1gなんで水より軽い。かつ水と油ということわざがあるくらい分離するのでそのままだと海に油が浮くわけです。今回は全部が重油と仮定して計算してみます。
1L(リットル)=1000㎤
重油は1㎤=0.8gですから、
1L=1000㎤=800g=0.8kg
となると1万リットルは、
10000L=8000000g=8000kg=8t(トン)
ですから5万リットルは、
50000L=40000kg=40t となります。
前述長鋪汽船さんの8/18報告で今回流出が1000tと記載されていますからモーリシャスの油流出は佐賀の25倍くらいの流出とみればいいんですね。
佐賀の場合、実際に油が広がった面積は98万平方メートルと報告されています(ここでの報告は油5万4千リットル多分こちらが正しいのかな??)
100万平方メートル(㎡)は1k㎡ですから、小さな町内なら丸ごと浸かってしまった状態。ちなみに1k㎡東京ディズニーリゾート全体の広さくらいなのだとか。
佐賀豪雨災害調査報告書が2020年6月に公開されました。そこに浸水した大町町の航空写真が24Pに出ています。油が他の地区に流れないように排水を止めたため、写真で水に浸かっている場所が油の流出場所と一致します。これが1k㎡になるんですね。
佐賀県の場合緊急除去作業は、8月28日に発生後9月10日の緊急対策の最終対応まで12日間かかっているようです。佐賀県のHPで以下の記事を発見。
前述のPDFには緊急作業において「油のみ吸収して水は吸わない」ため吸ったあとの資材回収にも非常に優れているとのこと。特にマングローブ林など手作業以外で除去しづらい場所が多いこともあり活躍が期待されます。
先ほどの日経ビジュアルデータの地図(Topic3より引用)を改めて確認。Googleマップで地域の尺度を見るとこの範囲で25k㎡くらいになりそうです。
https://goo.gl/maps/RpirxWTYXYdcd9x18
笹原商事さんのPDFにおいて佐賀の対応では11万枚利用されたことからも今後本格的な対応をするにはもっと大量に必要になるのがわかります。
そこでエム・テックスさんがもともと国内災害向けに行っていたクラウドファンディングをモーリシャス向けに対応することになりました。ベンチャーさんなんで生産費用とか嵩むと大変ですもんね。今回佐賀の油流出を調べて感動したので、エム・テックスさんに協力しようと思います。
今3万コース以上しか出てないんで手が出しにくいのですが、少額コースも出してくれるよう調整中とのことなので待ちますね。
2020/08/21 21時時点で新しいコースが追加されました。3000円と5500円の2コース。早速私も5500円コースに申し込みました。
今回の大変な事故ですが一つの希望も見えていることがわかりました。国内から応援できることしていきたいです。